ギタリストシェフ、小川カヤさんがうちの2階に暮らし、ほとんど2ヶ月が経つ。新しい音楽イタリア料理店舗も、何度も決まりかけては、先延ばしにされたりして、ついに今日、その決まりかけていたものが破綻した。理由はよくわからないが。何組か面接した上でそうなったっぽいのだから、そういうことなんだと思う。

1ヶ月以上、あなたで濃厚ですみたいな感じだった。世間的には大どんでん返し。でも僕はこうなることはわかっていた。その件について特に触れたわけでもないんだけども。かなり冷たい物言いかもしれないけど、様々な力が働いて、わかってしまったのだ。僕がそう思ったことによってそうなったのではなく、ある地点でわかってしまったのだから(それも僕の超個人的な出来事で)仕方ない。今の僕が抱えている事柄が、彼の今と本当の意味で恐ろしいくらいリンクしたということ。それがわかってしまった瞬間は、涙が溢れ出て仕方なかった。でも僕にもどうしようもなかった。とにかくこれで彼にとっての物事は、白紙までいかないけど、ふりだしに戻ったと言っていい。

最近は2階の住人さんと距離を置いていた感じ。礼儀正しく、誠意があって、気を遣ってくれている人の想いは強烈だろう。僕は別にこれからも頑張ってほしいからあまり興味はないのだけれど、もうお店を始めている予定だった人は、本当に申し訳ないという感じで居心地がわるそう。これはお互いの性格の違いだよね。でも今日の朝、路地でタバコをふかしながら決まった事実だけを確認し、また最初からだ!、もう今日来たと思ってくれ、という言葉を冗談っぽく笑顔でもらって、また歩き始めたカヤさん。それでいいんだよな。このパターンは、彼と十年以上付き合っていればよくあった話だ。まるで悪魔が住みついているかのような真のブルースマン。でも、彼が真の力を身につけるのはこれからだということも、僕はよくわかっている。こういう人の原動力は這い上がることだけでしかないのだ。今までのようにこれを特に悲しいことだと捉える必要はまったくない。

彼に対しては、いいことがありますようにと願っても効果がない。僕は今日、彼が原点のある横浜の知り合いのところへ向かった後、2階の部屋を少しメンテナンスした。住む人によってこうも部屋の気配が変わるのだ。遊びに来てくれた人はよく知ってると思うけど、近くの八幡神社から風が通り抜け、とても気持ちよく過ごしやすい部屋で(先月なんか特に)、友達の小さい赤ちゃんが遊びに来ても、大泣きせずスヤスヤという場所なんだけど、現在はこんな展開は初めてなくらい確実に何かが滞っている。僕はお祓いはできないので、あくまでメンテナンス。この窓ひとつ常に開けとけば、だいぶ流れが変わるとか。勿体無い箇所を気配でチェックする。

それから、昨年末、僕が苦しみから立ち直るために飾った、希望のお守り類(主に大好きな人たちの作品類)を、僕の住む1階に戻し始めた。これは僕にとってのお守りだからね。ユッコが最後に残してくれたグアテマラの猫ちゃんの刺繍布も、彼女はタバコは大嫌いだったから1階に運んだ。

今日カヤさんが向かった関内のカフェバーは、僕もカヤさんと出会うために、そこにしか置いてなかったCDを買い求めに行った場所でもある。彼が再出発してから、晴れがすぐ雨になった、すごいよなぁ。布団を取り込む。僕は最後に2階の部屋に、僕が苦しかった頃、2階で少しだけ暮らしていた親友からもらったお香を1本焚いてから、1階の部屋に戻った。これだけで、だいぶ流れが変わるように思う。

お店が決まるまで、僕はまったく構わないです。でももう少しだけ、部屋も生き物だと思ってもらえると嬉しいのかな。そういうことを感覚で理解できないだろう人に伝えるのは、なかなか難しいことでもあるけどね。これからはカヤさんの生き方に部屋を調整しつつ、気の流れだけは滞らないようにしてあげたいな。一方で、今日から僕の1階の部屋はだいぶシャレオツ空間になったのは言うまでもない。

 

#3503-17-04 /  Yamashita Park

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