ギタリストのカヤさんが、福岡からうちにやってきた日から2週間が経った。うちは1階の僕の暮らすアパートと2階のほとんど空きアパートがあって、カヤさんには2階で暮らしてもらっている。

福岡で続けたイタリア料理音楽店を、今度は東京で。仕事としては飲食店になるが、すべて音楽やアートが集えるための場所となる。もともと神奈川の人で、東京にも暮らしたり、海外でギター演奏を続けたり、沖縄でも暮らしたり、福岡で12年住んでいたり。毎日物件探しや、街の匂いを嗅ぎに出かける。僕も自称、気配研究家。街という街もポスティング時代に散々見てきたので、たとえ一本の狭い道でも、気の流れを感じることがいかに大切であることがわかる。妥協というものも全くない人なので、本当にたくさん動きに動いてきた。

僕も仕事がない時や、カヤさんの仲間たちと会うような時は行動を共にする。カヤさんとはいよいよ腐れ縁みたいな長い年数を共に過ごしてきたような気もするが、その関係性も少しずつ変化してきていて、面白いなと思う。僕も年末くらいからこの春までに、確実に変化しているような気がするから。

出会えた頃、カヤさんはすごいギターを弾く人とだけ思ってきた。今カヤさんはその時の僕にはまだ早かったかもしれない、また違う世界を教えてくれている。本当にいい音楽を続けるためには、泥にまみれないことには何も始まらないということかもしれない。恐ろしく様々な計算をしていることを、感覚だけで生きてきたような僕に、尋ねなくとも何でも教えてくれる。それだけ自分も真剣ということである。

今日、散々街をめぐってひとつの結果が生まれた感じになる。店を構える場所や物件もほぼ決まったということ。いろんな方向があったと思うけど、よかったなぁと思う。たぶんこのペースで何ヶ月も行動を続けたら、絶対にきつかったと思うから。あぁすごいなぁ。たった2週間で次の未来を決めることができる人が、うちの2階にいるのだ。

僕にとってもすごい2週間となった。中南米を2ヶ月間旅した時よりも毎日の内容が濃すぎて、もうどうしようもないくらいだった。ひとことで表せないけども、素晴らしい音楽たちが心に集まってきたことが何よりだと思える。カヤさんにひっついて飲み遊んでいただけでなく、普段の仕事も集まってきていた中で、よくこんなに必要だった出会いや再会を繰り返せたものだよなぁ。

戸越銀座出身、福岡で出会えた木下弦二さんをリーダーとする東京ローカル・ホンクのライブ。5年前に絵描きの神田サオリの10周年記念ライブの時に出会えた、mue(大越扶美子)さんの年に一度の特別なライブ。これらが僕を徹底的に幸せにしてくれた。最近ずっとこのふたりの音源しか聴いてこなかったけど、それらのライブがなんと2日連続であったということだ。今の僕になれて、本当によかったなぁと思えた。

それらのライブがあまりに素晴らしすぎて、この数年間抱いてきた、僕のひとつの大きな大きな夢、ギタリスト小川カヤと、僕の超大好きなギタリスト児玉峻がようやく出会えたことも、なんだかもう自然の流れのひとつみたいになってしまって、ちっとも感慨深くならなかった。いつもはその日の気分次第の児玉くんも、今までのこちらの想いを受け取ってくれていたので、きちんと行動してくれた(笑)。3軒も4軒も、東京を知りたいカヤさんのために自分の世話になっている店を紹介してくれて、僕もいつも以上に飲みすぎてしまった。その日は昼下がりに撮影もあったのだけど、昼から夜にかけビール7杯(本)泡盛にラムコーク。これも最高だった。

まだまだ他にも、いろんな出会いや再会がこれでもかと思うくらいあった。年末や年始に写真を使って脳内で繰り返したことが、現実となって目の前で起こったり、それまでいてくれた者の代わりに、またそれにほとんど近い人たちが必ず現れるということ。こういうのをなんていうんだっけなぁ。恐ろしいことだとも思うが、今の僕はそういうことなんだとしっかりそれらを見つめてみる。

これからの僕はどうだろう、やっぱり今の僕にはわからない。ただこの状況を進んでいくしかないんだと思う。でものんびりはやっぱりしたい僕の性格。そんな中、常に僕の中にいてくれる人たちに会える時は、さすがにほっとできるよなぁ。

木下弦二さんの「またあおう」、そして、mue さんの「ほんとうの夢をおしえて」今夜もそれらを聴きながら、僕は僕でいることを続けている。もちろん、今日の僕や、今日のあなたのことを想いながら。

 

 

#3475-17-04 / Spring Bulbs / Guitarist Shun and Kaya

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