2003年、美大を6年かけてようやく卒業できた。就職という概念はなし。卒業証書も取りに行かなかった。3年間毎日撮り続けて、写真を撮るのがとにかく楽しくなった、ということにする。

最初にしたのは、花屋のバイトをやめたこと。一緒に働く人たちはみんな家族のような存在になって、あまりに居心地が良すぎたから、これじゃあ写真家にはなれないなという感じ。ポスティング(チラシ投函)のバイトで街の写真をたくさん撮ることにした。あとは大学1年の頃から続けているラブホテルのバイトを週に1度だけ深夜の時間に。花屋にラブホテルにポスティングのバイト、これらが今の僕を形成していることがわかる。

この年の写真はたくさんあり過ぎて、選ぶのが大変なんだなー。3月と6月に沖縄に行って、それも先々の僕にとても心地よい風を運んでくれた。秋には心のお師匠ギタリスト、カヤさんとの出会いもあった。僕の生まれた新潟での伝説ライブ、こんなに心が激しく動いたのは初めて。この人についていきたい、そんなことを純粋に思う。これからを生きるには、彼の音楽がどうしても必要だと知った。

花屋でバイトを続けようとしたら、ラブホテルで人間の本質を知ろうとしなかったら、ポスティングで身体を酷使して、1日じゅう誰かの家のポストにくだらないチラシを入れなければ、絶対になかった出会い。沖縄を好きにならなければなかった出会い。すべてはつながっていること、なんとなく気づけた、26歳くらいの写真の僕。

年末くらいから、初めて写真の仕事というものをやってみる。美大の教授が稼ごうとしない僕を見かねて、大学パンフレット写真を撮る機会を授けてくれた。もしこれがなければ、今の僕はもういないはずである。この感謝を正しく伝えることはまだ叶っていないのだが、自分のベスト作品集ができたら、真っ先に渡しにいきたい、いや、買っていただきたい。あれ?

 

 

#3407-03-01 /  All money

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